教育・法規のリハビリテーション課題とは
第5回目のリハビリテーション小委員会は「養成教育課程に関する課題」と「理学療法士資格法と関係法規」という2つの課題に対し、専門家よりお話をいただきました。
渋谷健司氏(東京財団政策研究所・研究主幹、相馬市新型コロナウィルスワクチン接種メディカルセンターセンター長)からは、養成教育課程に関する課題について、厚生労働省「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(2019年)で議論された項目をもとに、タスクシフティング/タスク・シェアリング推進の観点から、理学療法士を含めた医療関係職種がより専門性を活かせるよう、それぞれの業務範囲を見直す必要があり、そのためには専門教育における質や量の充実が不可欠であるとお話がありました。
また、海外の教育等の現状も含め理学療法士のビジョンを提示していただきました。
① 能力と意欲を最大限発揮できるキャリアと働き方をフル・サポートする
② 地域の主導により、リハビリテーション・理学療法人材を育み、住民の生活を支える
③ 高い生産性と付加価値を生み出す(タスクシフト、専門教育の質と量、テクノロジーの活用、エビデンスの蓄積等)
また、小西知世氏(明治大学法学部)からは、医事法の専門家として現状の法廷上の理学療法業務について分かりやすく説明いただきました。医療を取り巻く構造的な変化は①需要側の変化(人口構造・疾病構造・患者の期待の変化)、②供給側の変化(働き方改革の趨勢・女性医師・高齢医師の増加・地域偏在)、③テクノロジーの変化等(AI/IoT等のICTの進歩・職種間協働の可能性の高まり)が提示され、構造的な変化に合わせた枠組みを考えていく必要性を示唆していだきました。理学療法士の資格法は57年の間、見直しが行われておらず、医療を取り巻く構造的な変化に対応することが必要となっています。「理学療法士及び作業療法士法」が議論から取り残されてしまっていること、国民の期待に対応できない枠組み等さまざまな解決方法、法改正も視野に入れて検討していく必要性を提示いただきました。
理学療法士及び作業療法士法が出来て57年、これから10年、20年先を見据えた法改正も含めた更なる検討が求められていることを改めて実感しました。国民の需要に理学療法士はじめリハビリテーション専門職がしっかり応えられるような養成教育課程の見直しや資格法の整備にも取り組んでいきたいと思います。
これまでのリハビリテーション小委員会の様子