産前産後のリハビリテーション
6月6日、かねてより念願であった産前産後のリハビリテーションに第一線で関わっておられる理学療法士の方々と意見交換することが出来ました。
3年前、自民党政務調査会厚生労働部会の中に設けられた「リハビリテーションを考える小委員会」で委員長を務めていた時、私自身が、学生時代から「痛み」とともにライフワークとも感じていた「産科理学療法の確立」を目指して、産前産後リハビリテーションをテーマに産婦人科医、理学療法士から産科臨床場面での母体の現状についてプレゼンの機会を作りました。

産科理学療法を政策的観点から正面に捉えたのはわが国で初の試みでしたが、その結果、母体の身体トラブルについての臨床データやエビデンスが無いことが判明するなど、後進国並みの現状に愕然としたことを覚えています。
その後、(一財)日本女性財団主催、NPO法人ReMind協力により、出産経験のある1万人の女性を対象に「妊娠中・出産後の母体の身体トラブル実態調査」が実施され、妊娠中・出産後の女性の9割に腰痛や尿もれ等の身体的トラブルがあったという、想像以上にシビアな結果に再び驚くことになりました。
生産人口減少に伴い、国では女性の社会進出、女性活躍を推進していますが、一方で少子化対策として女性に妊娠出産も推奨しており、女性に対する期待はあまりにも高いと感じます。しかもそれを支える社会的枠組みはそれほどに整ってはいません。
妊娠出産に伴う身体トラブルは全治2か月の交通事故並みと言われることもあり、育児、家事、仕事復帰、二人目妊娠にも影響を及ぼし、女性活躍、少子化にも大きな影を落としています。
わが国では「お産は病気ではない」という古来からの認識が未だにあり、たとえ妊娠出産時に身体トラブルが出現しても実際に医療機関に受診した方は15%で、ほとんどの人は我慢しているという結果も出ていました。
昨年、産後ケア事業の実施者として理学療法士が明記されたことは大きな一歩ではありますが、妊娠・出産・出産後を通して時系列的に理学療法士が積極的に貢献できる枠組みを構築することが肝要だと考えています。冒頭の専門家による意見交換をその緒としつつ、今後もしっかりと取り組んで参ります。
