「対談レポート」理学療法士(2年目)宮﨑緑さん × 参議院議員 小川克巳

若手PTの思うこと、目指すことを小川克巳が伺いました。

理学療法士になった動機、理学療法とは?

小川 宮﨑さんは一般の大学を卒業され、7年間民間企業でお勤めになった後、理学療法士になられた。なぜ理学療法士になろうと思ったのですか?

宮﨑 民間企業に在職中、リハビリを受けることになり、理学療法士という職を知りました。全く動かなくなった自分の体が動くようになった、治るんだということがすごく感動的だった。治っていく過程に私自身びっくりして、自分の体のことを何も知らないのだ、と。
今後、ずっと続けられる仕事をしたいと思った時に、まずは自分の体のことをしっかり知りたいと思ったことと、治る感動が忘れられなかったことが、理学療法士になった動機です。

小川 去年、ある学校で講演をした際、学生から、「理学療法士の仕事を説明するのに、どう表現したらよいか?いつも困ります」という質問が出たことがあります。私は、「理学療法士は“人としての誇りを守れる”仕事。作業療法士は“相手の人生を個性化できる、その人の人生に色付けができる”仕事。言語聴覚士は”ひとつは他者と繋がっていたいという欲求、もうひとつは最後まで自分の口で食べ、味わいたいという、人としての最後まで残るであろう欲求を満たすことのできる“仕事」という話をしました。学生からそういう質問が出たこと、そういう感性で考えられる学生がいるんだなぁということ、嬉しく思いました。

理学療法士1年目

小川 (宮﨑さんは急性期の病院にお勤めですが、)最初から急性期で勤務したいと思っていたのですか?

宮﨑 自分がリハビリを受けた場が急性期だった。私の体がどうして動くようになったのか、現場でしっかり勉強をしたいと思いました。学校で勉強をしてきたつもりでしたが、実際現場に出てみると、知らない疾患の患者さんが沢山いました。

小川 私の理学療法士1年目はというと、卒業してすぐ、新設されたばかりのリハビリテーションセンターに就職しました。あの時代は先輩なんていないのが当たり前で本当に手探りで患者さんと向き合っていましたね。センターには同期の理学療法士3人、作業療法士1人、言語聴覚士(当時まだ資格制度はありませんでしたが)1人だけ。幸い事業団が米国から理学療法士を招請してくれたので、色んなことを指導されながら始めました。そう言えば、最初に担当した患者さんがパーキンソン病。学校で習ったフレンケル体操などをやるわけですが、むしろ薬物療法の方が有効で途方に暮れたことを覚えています。印象に残っているのはリンパ浮腫の患者さんでした。なにしろ臨床実習では診たことが無い。1年目じゃどうしたら良いか全然わからず、ちょっと触れるだけで痛みが強くて…苦労しましたね。

現場で仕事をするということ

小川 宮﨑さんは社会人を経験してから理学療法士になられたわけですが、現役でストレートにきた人たちと比べると、見方が違うことがあるのではないですか?同級生から教わったり、逆に教えたり、というようなことはありますか?

宮﨑 同級生が持っている熱意と、何事にもチャレンジしていく気持ちは、とても勉強になります。一方で、社会人を経験したことに関係するかどうか分かりませんが、給料をもらっていることに対する責任、仕事に対して責任を持たなくてはいけない、ということを伝えたいと思う事はあります。

小川 今おっしゃったように、学生は11月に臨床実習を終えて卒業試験、国家試験を通り、4か月後には給料をもらう立場になる。4か月前の学生時代と、実際現場に立つ時の技術と、給料をもらえるほどの違いがあるのか?最初の1年もしくは半年くらいは、診療報酬を請求しなくても、勉強期間として、技術を学ぶ時期としても良いのではないか。患者さんにとっては、その日が命です。そう思うとスキルも知識も未熟な状態で報酬を頂いていいのか。また、昨今は患者さんの権利意識が高くなってきている。必然的に今の学生は、臨床実習期間に実際に患者さんに接する機会が少なくなっています。その分をしっかりと埋め合わせるための指導をしないと、本当に現場に立てる知識や感覚などは、身につかないでしょう。

教育制度について

小川 私は熊本で教鞭を執っていました。3年制の専門学校を、途中で4年制化しました。そこで感じたのは、専門学校に4年制が本当に必要だったのか?ということです。4年制になると、3年制の時より、学生との関わりが希薄になる、という印象がありました。これは私自身まったく想像しなかったことです。その後、招請に応えてもう一度3年制専門学校で教鞭を執る機会に恵まれました。結果、専門学校は3年で専門職としての基礎をきちんと身に付けさせることができると感じました。大学と専門学校を比べることは無意味だと思う。元々のルーツが違うからです。それぞれの原点に帰らないとダメだということが、結論でした。
私自身の使命、ライフワークは教育だと思っています。資格取得後の活動に広がりを持てるのは大学教育だろうと思っています。ただ、単純に1年間延ばせばよいわけではない。専門学校は専門学校で、その名の通りプロフェッショナルを育てることにありますから、みっちり教育できれば、専門職の養成としては向いています。大学教育化を進めると同時に、専門学校は3年でみっちりプロを育てるという、役割分担がきちんとできる事が必要です。専門学校を否定して、一概に大学が良い、ということではないと思っています。
理学療法士は毎年1万人、有資格者が増えています。私たちのように若い人たちの前を先に行っている者としては、若い人たちに理学療法士という職業に夢と希望を持ってもらいたいと思う。そういう意味でも、教育がとても重要だと感じています。何とか他の医療専門職種と協力して4年制教育化を進めたいと真剣に考えています。大学教育に加え、1年間の臨床研修制度が実現されれば、ベストだと思います。
いまお話ししたところで、宮﨑さんの立場から何か感じることはありますか?

宮﨑 私は一般の大学と理学療法士の専門学校を両方経験しました。一般の大学では、一般教養と専門分野を半々くらいの年数をかけて学びました。一方で専門学校は、もっぱら専門的なことを学ぶ。自分が勉強したいことだけを3年間しっかりと学ぶことができたのは、面白い環境だなと思いました。
小川先生がおっしゃったように、1年間の臨床研修制度が実現されれば、実際に現場に立つ時の、自信や動き方は全く違ってくるのではないかと感じます。私が経験した臨床実習は貴重な経験でしたが、実際に現場に出てみると、実習で学んだことだけではないのが現状です。

将来のキャリアについて

小川 今後、ご自身の将来、キャリアのことはどのように考えていますか?

宮﨑 漠然としています。学生時代は色んなことをやりたいと思って勉強してきた。理学療法士が進める道はすごく色んなことがあるのだなと思いました。
現場に入ってからこの1年は、日々とにかく目の前のことをやり切ることに精一杯でした。そんな中、色んな経験をさせてもらっているので、もっともっと色々な可能性があることがわかってきたところです。これからしっかり自身の専門性をどう作っていくか、患者さんに向き合いながら、考えていきたい。(理学療法士の資格が活かせる)可能性はたくさんあることに気づけたことは、大きいと思います。

小川 おっしゃる通り、理学療法士の可能性はすごく広がっています。暫く色々チャレンジしてみて、徐々に収斂してキャリアを形成していってもらいたい。同時に、自分が努力したものを、第三者から評価してもらうことも必要です。認定、専門制度など、キャリアを積み上げていける仕組みは揃っています。自分のやりたいことを、患者さんを目の前に置いて、考えてもらいたいと思います。

“理学療法”と“リハビリテーション”

小川 これはお願いですが、“理学療法”と“リハビリテーション”を峻別しながらやって欲しいと思っています。理学療法は治療科学、リハビリテーションは理念です。リハビリテーションを具現化するために、理学療法がある。リハビリテーションとは、くらしを取り戻すこと。
急性期にいる理学療法士には、担当している患者さんが自宅、地域、職場に還った時に、何が問題となるのか?そこを想定しながら、患者さんの課題に向き合ってもらいたい。患者さんのその後のステージを想像して、リハビリテーションのための理学療法を駆使して頂きたいですね。

特に若い人たちには、お酒を飲みながらでも「理学療法って何だろう?リハビリテーションって?」という議論をたくさんして欲しいと思います。理学療法士の道を選んで良かった、と思ってもらえるように、我々も頑張ります。それぞれのフィールドでともに頑張りましょう。

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